後書き

 どうにか書き終えることができました。何よりもまず、この暗くて長い話に最後までおつき合い下さった皆様に感謝致します。
 さて、趣味レベルとはいえもの書きたる者、語るべきは作中で語るべきではあるのですが、多少なりとも補足の必要があるかとも思われたので、拙作に言を加える愚をしばらくお許し下さいませ。
 この話、元はといえば、某所でリレー小説に参加させて頂いた際に、年をとらない魔女というキャラクターを作ったのがきっかけになっています。タイトル「Puella Aeterna」は、ラテン語で「永遠の少女」の意です。文字どおり、自らの時を止めたアイリスのことであり、また、自分の生き方を模索し続ける彼女の在り方を意図しています。この話があのような終わり方になっているのはそのためです。魔女としての彼女の話は、ここから始まりますので。
 このような経緯をもつ話ですので、リレー参加当時に何げなく作った(というよりできあがっていった)設定やエピソードを、後から理由づけして繋げて行く、というやや特殊な作り方をしております。が、途中、展開に唐突なところがあったり、雰囲気が浮いたりしているのは、全て作者である私の未熟さ故です。さらに、リレー中で引用した場面とやや食い違う場面もあったりしますが、どうかこちらを御存じの方は、見て見ぬ振りをして下さいませ。御存じない方は、元ネタを探さないで下さいませ(苦笑)
 この後のアイリスですが……、永年に渡る魔女としての生活の中でずいぶんと荒んでいきますが、散々大暴れした挙げ句、できすぎた恋人を見つけ、多大な代償とひきかえに一人娘と平穏な生活を手に入れる……、と要約すればこんな感じです。なんだかコメディみたいな言い方になってしまいましたが、彼女なりに苦労を重ねていますし、本来はシリアスな展開となっております。
 閑話休題。
 この話の構想ができたのは、おおよそ3年弱前です。当時、テーマとして考えていたのは「業」です。やたらとキャラクターたちに、この言葉を使わせていたような気がします。誰かが悪いわけでもない、けれど誰かが苦しまなければならない。だから、誰かを恨むこともできない。それは持って生まれた、どうしようもないもので、結局受け入れるしか道はない。当時、私自身が自分の業に悩んでいたせいもあってか、話の流れはずいぶんと悲観的になっています。
 ただ、いざ書くとなると話は別で、特に長篇が初めてという不馴れさも手伝い、あらかじめ決まっていた展開と、愛着の湧いて来たキャラクターたちに救いを与えたいという思いの間で、ずいぶんと揺れたものです。結局、話として変わった部分はありますが(一番大きく変わったのは、クラウスの生存だったりします)、大筋では当初の予定通りのストーリーとなりました。
 私は運命論者ではありませんが、今もなお、私は人ができることなど、本当に小さいことだと思っています。ただ、だからといって、その人の生に意味がないとは思いません。むしろ、何も遺すことができなくても、何も為すことができなくても、確かにそこに存在して、自ら悩み、生きていたというだけで、その人の生はかけがえのない価値があるものだと思っています。
 この話にしつこく出てくる月には、そう言った意味が込められています。月の柔らかな光は、太陽の光のもとでは霞むものも、優しく照らし出すものですから。
 ずいぶんと蛇足も長くなりましたので、この辺りで今回は筆を置くことと致します。またお会いした時には、少しばかり成長した姿をお見せできるよう、精進したいと思います。まだ、この話の番外編はいくつか書きたいと思っています。お気が向かれましたら、またおつき合い下さいませ。
 最後に、ここまで読んで下さった方、励まして下さった方、感想を下さった方、お世話になった皆様にもう一度お礼を申し上げます。どうも有り難うございました。

2003年5月24日
沙倉 藍

    






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